ニュースを見ていた。
女性アナウンサーが野菜畑を取材していて、畑の持ち主にとれたて野菜の料理を振る舞われていた。
女性アナウンサーが料理を口に運ぶ。
私はそれを見ながら「出るぞ…出るぞ…!」と思っていた。
女性アナウンサー:「フゥゥウン!!」
私:「出たー!!!」
ほらみろ。やっぱり出た。出ると思ってたんだよ。「フゥゥウン!!」が。
ここまで読んで、私のことを「何言ってんだコイツ」と思ったあなたはニュースでもバラエティでもYouTubeでもいいから女性アナウンサーが食レポする番組を見てほしい。
料理を口に入れた瞬間、恐ろしいほどの高確率で「フゥゥウン!!」て言うから。
なんならまだ味わって無いんじゃねえのかな?っていう超速いタイミングで「フゥゥウン!!」を繰り出す猛者もいるから。
ていうかなんなん?
マジでなんなん?
なんでみんな揃いも揃って「フゥゥウン!!」て言うの?
アナウンサーになるためのマニュアルに「料理を食べた時に美味しさを伝えるリアクションはフゥゥウン!!が絶対である」とか書いてあんの?
もしもよ?
もしも私が料理作って、よく知らない相手に提供して食べてもらう機会があったとして。
ひとくち口にいれた瞬間に「フゥゥウン!!」なんて言われたら怯えるよ?普通に。
その後に「美味っしいです!!甘くて口の中でとろけて…絶品です!!」
…なんて言われたとしてもですよ?
もう最初の「フゥゥウン!!」で私は怯えてるから。
そこからまくしたてるように「甘い」「とろける」「絶品」なんて褒めちぎられても、こちらとしては「なにこの人こわいよ…」と恐怖にぶるぶる震えながら「あ…ありがとうございます…。」としか言えないわけですよ。
そうそう、食レポでは「甘い」「とろける」あたりも鉄板ワードとして出てきがちですよね。生野菜かじったら大体「甘い」って言ってるし。
ここまでさんざん文句を言ってきたけれど、ならば一体女性アナウンサーがどういったリアクションを取れば私は満足するのかを考えていきたい。
私としては「普通のリアクションを取ってもらいたい。」
というのも、通常のテンションで過ごす私生活場面で美味しい料理を食べた時に「フゥゥウン!!」はなかなか出てこないと思っている。
むしろ1人で美味しい料理を食べている際に「フゥゥウン!!」が出てくるようであれば相当なナイスリアクションの持ち主かつ人生を大いに楽しんでいそうなので素晴らしい事だと思う。
私は美味しい物を食べた時に、1人だったら「美味しさにちょっとビックリし一瞬固まりつつ、その後飢えた獣の様にガツガツと食べ始める」し家族が近くにいれば「コレ!ヤバイ!マジ美味しい!!(住んでる地域の方言で言う)」と大騒ぎする。
きっと「自分も似たようなリアクションをするわー」という方もそこそこいらっしゃるのではないのかなというくらい、ごく普通のリアクションである。
だからアナウンサーの方々には、このように普通の人間が見て「ああ、マジで美味しいんだなー」と思えるような「嘘くさくないリアクション」をしてもらいたいものだ…と思ったんですが、コレを実際に女性アナウンサーの方がやったと想像して。
料理提供者:「こちらの料理のこだわりは〇〇で××を△△したところなんです。」
女性アナウンサー:「なるほどー。ではさっそく、いただきます。(料理パクッ!)」
女性アナウンサー:「…!」
料理提供者の心の声:「(え!?無言!!?美味しくなかったのかな???どうしよう…)」
女性アナウンサーが急に料理をガツガツ食べ始める。
料理提供者の心の声:「(!!?えっなにこの人!料理食べて固まったと思ったら急にガツガツ食べ始めた!!怖い!!!)」
女性アナウンサー:「やべえ!!コレマジ美味しい!!すげえ!!めっちゃうめえ!!」
料理提供者:「あ…有難うございます…。(恐怖でブルブル)」
………想像してみたけど、めちゃくちゃ酷いな。
こんなことなら「フゥゥウン!!」の方が百億倍マシだわ。
世の中いろんなことが変わりつつあるし「変化を起こしていくことが素晴らしいとされがちだけれど、やっぱり「これがこうなったらこうする」みたいな、なんかこう定型文みたいなお約束みたいな物も時には必要かもしれないなあ…なんて少しだけ思ってみたり。(私の例文が悪すぎるというのもあるけれど。)
女性アナウンサーの食レポの「フゥゥウン!!」を「若くてかわいい顔してるからってぶりっこしやがって」みたいに批判的に観がちだった私だけれど「じゃあ自分だったらどう言うの?」「素を出してみたらどうなるの?」という所まで想像してみたらなかなか酷かった。
これからは「フゥゥウン!!」を「そうだよね、それが多分一番おいしさや感動がつたわるリアクションだもんね」「フゥゥウン!!以外に一番良いリアクションが私もわからないもんなあ…」と思いながら「美味しさを他人に伝えるってマジ大変だな、アナウンサーさん頑張って!」と応援する気持ちで食レポ番組を視聴していこうと思います。