身の回りの人に対してとにかく「いいよ!私がやるからやってほしいことがあったらなんでも言ってね!」と言ってしまう方だった私。
不思議なことに、人のためならいくらでも動けたし何処へでも飛んでいけた。
「相手の要望」を言動からサーチして、愚痴を聞き出して欲しそうな相手には愚痴をたっぷり吐き出せるように話を展開し、好きなだけ喋ってもらう環境を作った。
惚気や自慢をしたそうな相手にはそれを存分に吐き出してもらい、その他の要望があるようならそちらにも対応できるように気を配った。
仲良くしたい相手なら喜んで気を配ったし、好きじゃない相手にも同じように笑顔で対応した。
「誰に対しても平等」である事が大切であると思い込んでいたからだ。
おかげで私が原因の対人関係での衝突は無かったが、人と人のトラブルに挟まれまくって愚痴聞き役にされたり、「困った時にはマナに言えばいい」と都合よくアテにされたりしたが、その時の私は「私を頼ってくれることが嬉しかった」から全然問題なかった。
人に対してはいくらでも要望に応えられるパワーが湧いてくるし「あれもしてあげよう!」とか「これもしてあげたら喜んでくれるかな?」とかいくらでもアイデアが浮かんだ。
その逆に、自分に対しては何も感情が湧かなかった。
人が何か愚痴やらトラブルやら相談やらを提供してくれないと内心ヒマで仕方ないくらいだったし、何も無かったら過去の嫌な目にあったこととかこれから先に起こったら困るなあと思うような不安を妄想したり、体験談が投稿されているサイトで嫁姑修羅場やらメシマズ嫁やらエネ夫やらスカッとやり返した話やらを読み漁って刺激を得ていた。
そんなサイトを読み漁り続けていると影響を受けるのかアドレナリンでも出てくるのか、夫に対してやたらと腹を立てたり喧嘩をふっかけたりする事が多くなった。
「やっぱり私は夫だろうが友人だろうが、自分以外の人間に気を許せない!」
他にもいろんな要因があり、ますます周囲に対して心理的なバリケードを張る私。
いつでもどこでも身一つで出ていけるように荷物をどんどん捨て始めたりした。
結局その心の準備は現実となり、紆余曲折あって今の環境に落ち着いた。
そこそこの時間が経過して、穏やかな人たちに囲まれているおかげで精神的にも落ち着いた今、やっと「ほしいものをほしいと伝えたら、めちゃめちゃ快く与えてもらえる」事に気付いた。
いつの間にやら私は「(私だって欲しいけど…)私のことはいいから兄弟にあげてほしい」とか「ここで欲しいって言ったら卑しい奴だと思われるのではないか」とか「断られたら悲しいし恥ずかしいし次にどんな顔して会えばいいのかわからないからもらわない方がいいな」とか「助けてもらうなんて相手の迷惑になる。相手だって大変なんだから私は私でなんとかしなきゃ」とか「とにかく自分でやらなきゃ」と思い込んでいた。
悲しくても人前で泣くなんて情けないから涙は流さない!
お金がないと思われるのは恥ずかしいからあるように見せないと!
結婚生活が充実してるように見せなきゃ!
他人に助けてもらわなくてもデキる女でいなきゃ!
…などなど、自分で自分の首をギュウギュウに締め上げて窒息寸前だった。
ある日ビクビクしながらでも夫に助けを求めてみたら、あまりにもすんなり助けられて拍子抜けした。
「あれ?この人はこんなに頼れる人だったっけ?」
私が助けてあげないとこの人はダメな人だと思い込んでいたのに、私が「これが夫だ」と思っていた夫は現実の夫のごくごく小さな一つの面でしかなかった。
目からウロコが落ちた気分で、他の人にも少し力を抜いて接する事が出来るようになってきた。
夫以外でも「こんな事お願いしてもいいのかな?」とビクビクしつつ嫌われたらどうしようかと怯えながらしたお願いがあまりにすんなり通ったどころか逆に喜ばれたりもして驚愕したりもした。
私はどれだけ周りを過小評価して「私が頑張らないとダメになってしまう…!」と思って守ろうとしていたのか。
そこからコツコツと学んでいって、頼れる人は頼らせてもらっていいと分かったし、頼らせてもらいつつも私に出来る事があれば喜んでやるようにした。
反対に「なんかこの人、やたらと頼ってくるばっかりするなあ…。」とか「普段仲良くしてる人とうまくいかなくなったら急にこっちにすり寄ってきたな」とか「変だな」と思う相手は下手に「平等!」とか言っていい顔してるとロクなことにならないし私自身も楽しくない。
そういう相手は放って置くようにしたらものすごく気が楽になったし、放っておいたら「コイツといても利益がない」と思うのかいつのまにか周りからいなくなるので全く問題無かった。
世の中、意外と助けを求めても大丈夫だしお願いしても大丈夫みたいだし、変だなーと思うものや嫌なものは放っておいても大丈夫みたい。
自分の思い込みの世界が少し崩れてきた。
ちょっとだけ、前より力を抜いて生きていけるような気がしている。