ささくれ。
それは手の爪付近の皮膚に時折発生する「皮膚が棘の様にシュッとめくれる」アイツである。
アイツは衣服や毛布などの繊維に引っかかると、指の関節方面に向かってさらに拡大していく。酷い時には血がでていたりする。地味にズキズキ痛んだりする。
そんな「ささくれ」であるが、皆様どのようにお手入れされているのであろうか。
おそらく大半の方が「ささくれの根元を爪などで摘まんでぶちっと引きちぎる派」ではないだろうか。
もちろん私も同じである。
指先に「ささくれ」を発見したら速攻で引き千切って捨てている。
邪悪な言い方をすれば「見つけ次第一人残らず〇す」である。
時折、ささくれ具合や引き千切り具合によっては結構出血してしまったりもするが、放置していればすぐに傷口は塞がる。
痛むのはせいぜい「傷口を広げてしまった当日のお風呂」くらいまで。
寝ればささくれの存在自体忘れるし何日も痛むことはほぼ無い。そしていつのまにやら完治している。
そんな「気になるときには気になるけどあまり気にならない症状」である「ささくれ」をわざわざきちんと爪切りを取り出して根元から切ってみた。
その結果「自分の体をきちんと扱っている気分」になることができた。
それと同時に「また体を雑に扱っていたなあ…」と反省をする機会にもなった。
ちょっと前までは気力が充実していて「よっしゃー!自分の体を大切に扱っていこー!手が荒れてるからまずはハンドクリーム塗るぞ!!!」と「自分メンテナンスモード」に入っていたのだが、いつの間にやら「寒い…けどまだ行けるぜオラァ!!」と薄着で外をウロウロしていたり「やべえ…買い物早くいきたいけどメイクめんどくせえ」と眉だけ描いて近所のスーパーをうろついたりしていた。服もひたすら「取り出しやすい位置にあるやつ」を着ていた。
何故「自分メンテナンスモードは続かないのだろうか」と色々考えてみた結果私なりの答えが見えてきた。「忘れている」のである。
やる気がみなぎっている時には脳の片隅に「自分メンテナンスモード」があるのだが、次第にだんだんと薄くなってきて最後には脳の中からいなくなっている。
自分を丁寧にお手入れすることが毎日の習慣になっていて無意識に行動できる領域にいれば問題は無いのだろうが、私はまだまだ「メンテナンスしなきゃ、今日は何をしようかな」と意識しないとできない段階なのである。
その「意識をする」というのも続かないので、だんだんと「意識しなくなる」。
習慣にもなっていないのでそのまま「忘れ去ってしまう」。
「小さな症状を軽視して見逃し、自分の体に無頓着な習慣を続けて趣味嗜好を重視しているうちに大病が育ってしまう」のは良く耳にするし理屈は分かっているけれど、差し当たって大きなトラブルが無いとついついいつもの習慣を行ってしまう。
習慣になっていない行動は大体が面倒くさい。やらなきゃいけない状況にならない限りやりたくはない。
ささくれを雑に扱ったところで取り返しのつかない事態になるとは思えないけれども、小さなささくれや小さなトラブルを見逃しているうちに何か大きなトラブルになっていっても嫌なので、小さな「ささくれのようなトラブル」も「思考停止でなんとなく見逃さない」ようにしていきたいなあと思う。
だからといって「ささくれを毎回きちんと刃物でカットできる?」と言われたら返答に詰まるところだが、手元に刃物がある環境ならばきちんと用意してカットしたいと思う。
引き千切ることも間違いなくあるだろうけど、もしも出血したら従来の様に放置せずにケアできる人間になりたい。
そして、日常生活の小さなトラブルも見つけて対処できる人間に…忘れずに変わっていかなきゃいけないなと思います。