小さいころから両親祖父母の顔色を見て育ってきたせいなのか、この年になっても他人の機嫌の良し悪しをいちいち拾ってしまう。
酷い時には、お店の店員さんが少しだけ不愛想な雰囲気をにじませてきたら「あ！今この人すごい機嫌悪そうだった！もしかしたら私になにか落ち度があって店員さんをイラつかせてしまってるのかも！どうしようごめんなさい！！」みたいになって、普段から丁寧に対応することを心掛けているのだけど、更にへりくだって店員さんに対応しお店を出るころには気を遣い過ぎて冷や汗ダラダラ・心身共にヘロヘロになったりしていた。
「私がなにかやらかしてしまったから相手の機嫌が悪いのかもしれない」
「とにかく機嫌を取らないと！相手に元気になってもらわないと！！」
誰かと一緒に行動を共にしていて無言の空気が出来そうになるととにかく必死に喋って場を繋ごうとする。そのせいで言わなくてもいい余計な事をしゃべってしまい、その後ずっと１人で「なんであのときあんなこと言っちゃったんだろう」と永遠に反省会をしたりする。
全然見ず知らずの後ろから来た車がイライラしたような運転をしているのも敏感に感じ取ってしまい「あああ、後ろの車の運転手絶対機嫌悪いよ。どうしよう変な運転して怒らせてあおり運転に発展してあの人が車から降りてきてオラア！って怒ってきたらどうしよう…。」アタフタし始めるともう運転が手に付かなくなってきて自分でもあぶないと思うような運転をしてしまい「ああああもう無理！！」となって車を寄せられそうな空間を見つけて速攻で寄り、後ろの人に道を譲ったりもした。
ちなみに、そんな思いをしながら道を譲ったその車は、私の車を邪魔そうにかわしながらそのまま目の前の角を右折していったのだけど。
そんな「身内から見知らぬ他人、今日今一瞬その場を共にしたらもう二度と会うことの無さそうな人までとにかく誰でも彼でも顔色を見て気を遣ってきた」私。
ある時「もうやってらんねえ！」となって。
だって他人の顔色なんて見ないで好き勝手やってる人の方が楽しそうに笑ってたり、明らかに他人に気を遣わないような人の方がスムーズに生きてて、私なんてこんな…こんなに必死に皆の顔色見て相手の気持ち察して、言ってほしそうな言葉言ってトラブルがあったら私に関係なくても一生懸命おさめに行って、他人が望んでそうな「マナはこういう人であってほしい」を必死でやってるのに、誰も私がやってるような事を私に対してやってくれないし、私に何かあっても「あー、大変だねー」なんて他人事だし。
皆「マナちゃん助けて」「マナちゃん聞いて」「マナちゃんならやってくれるよね」って私に何かを求めて押し付けて愚痴吐き場所にするだけ。
そんなの私ばっかり背負わされてたまるかボケー！！！！
そもそもどれだけ愚痴を聞いても誰も解決する方向に動こうとしないし、顔色読んで先読みして動けば動くほど調子に乗って「あ、この人やってくれるんだラッキー！」ってなるだけ！！！アドバイス求められてアドバイスしたところで実行する人なんて誰もいない！ただアドバイスを求めるふりしながら愚痴を吐き散らかしてスッキリしたいだけ！！
ていうか何なら私のこの性質、もはや「相手の顔色を見る」「機嫌を察知する」とかそういうの通り越して「被害妄想の域」に達してる気がする！今私が「あの人は今日はやたらドシドシ歩くから機嫌が悪い」と感じたあの人は本当に今機嫌が悪いのか？
今私が「あ、この店員さん…笑顔が一瞬こわばったから本当は機嫌が悪いのかも」と思った店員さんは本当に機嫌が悪いのか？？？分からない！正直言うと分からない！！！
相手の本心なんてテレパシーでもない限り分からない！！！
というか「常に機嫌が良い状態じゃないといけない」ってのがまず無理じゃん！
私でも「朝元気だけど昼下がりにはテンション下がってきたりする」よ！
調子が悪かったり疲れてたり筋肉痛だったり…「ドシドシ歩く」というだけでも様々な状況が考えられる！
店員さんだって常に笑い続けるの普通に無理だろ！愛想の良い人・そういうのが得意でない人いろんな人が居るし、そもそも注文した食べ物を床にたたきつけられたとかなら「あっ…この人機嫌悪い」ってなっても仕方ないけど丁寧に食べ物渡してくれてお会計もきちんとしてくれて対応に何一つ不満は無かった！
たった一瞬「店員さんの笑顔がこわばった（気がする）だけで、その店員さんを機嫌が悪い人にして自分に落ち度が無かったかと自分を責めて、その日のランチを台無しにしてしまうのか私は！！？
ひとりで延々と反省会したって相手の本心なんて分からないから「自分が悪かったのでは…？」以外の結論なんか出てこないし、ただでさえもなるべく丁寧に対応するよう心掛けているのにこれ以上何を頑張れるというのか？？？
ていうかもうこれ以上頑張れなくない？しんどくない私？
もうやめよ。やめて夫みたいな「メンタル頑丈系」見習おう。
私より全然気を遣わないし空気も読まないし言いたい事をズバッと言い過ぎて「ちょっと待って本気！！？」って私が止めに入るような時もあるけど私より全然スムーズに生きてて同僚とも仲良くやってて趣味でも人間関係広げてる。
こんなに頑張ってるのに結局ぼっちな私っていったい何…？？？
…もうやめよう。
機嫌の良し悪し・調子の良し悪しその人の自由。
そして私も同じく自由に機嫌の良し悪しがあっていい。
いちいちその場の空気や相手の表情・しぐさを読み取ってアタフタするのをやめる。
何でもかんでも「私が悪かったのではないか」と自分を責めるのをやめる。
見ず知らずの人にまで「カウンセラー」「コンシェルジュ」みたいにふるまうのをやめる。
私が出しゃばる場面じゃない時にしゃしゃり出て・その場をどうにかしようとするのをやめる。
「常にニコニコしてないといけない」をやめる。
やめようと思ったことをやめられなくて同じような事を繰り返しても自分を責めない。
責めないけれど「ああ、また同じ事やってる私」とちゃんと気が付くようにする。
気が付いたら「次に同じような事を繰り返さないようにするにはどうしたらいいか」考える。
ちょっとずつ「自分が楽になるように」変わっていくため、自分のとっている行動や考え方をよく観察して今までと少しでも変えて行く。
「他人の機嫌なんて私にどうしようも無くない？」が合言葉。
他人の不機嫌そうな雰囲気を感知してその雰囲気を丁寧に拾い上げたところで、自分に対して良い事なんて何一つ無いんだから。
