占いの番組が放送されていた。
日頃こういう番組は一切観てないのだけど、番組の初っ端から橋本環奈さんがバーンッと出てきて思わず観てしまった。
可愛すぎる容姿。
なのに気さくな話し方と豪快な笑い方。
彼女が動くたびにキラキラして見えてなんとも眩しくて、うらやましくて。
本当に同じ人間なのかと思わず鏡を見た。
鏡には風呂上がりで適当に一つくくりにした髪に・なんの手入れもされていないドスッピン・ペットの毛だらけになった着古した服に身を包んだ私が写っていた。
あっちが天使ならこっちは悪魔じゃん。
仮にこの悪魔が一生懸命オシャレしたところであの天使に近づける気がしない。
ちょっとこじゃれた悪魔になるだけ…だろうな。
私はそっと鏡を置いた。
そう、どれだけ考えても。きっと悪魔は天使になれない。
そもそも私はすぐに「自分より良い物を持っている何か」と「自分」を比較して「何か」を羨んで妬み、そしてその「何か」の私よりも劣っているところを見つけて揚げ足を取ったり否定したりするところがある。
結局は「うらやましい・私もそうありたい」だけなのだけど。
そういう余計な事に思考を飛ばすよりも、今は橋本さんの出てるテレビを静かに観ようじゃないか。
気を取り直してテレビを観ていると橋本さんが「両親が寄り添ってくれる人だった」みたいなことを言っている。
彼女がやりたい事を見つけて「これをやりたい」と言うと両親も協力的に動いてくれたというのだ。私はこれに驚いてしまった。
天使の周りには天使が集まるのか…。
思わず自分の家族を思い浮かべる。
小さなころから「お前は我慢してくれる良い子だ」と言われ続けて、欲しい物や言いたいことも親の顔色を見ながら我慢してきた。
やりたいことがあると言えばお金がかからないことなら「がんばれー」っていう感じで応援の言葉をかけてはくれるけれど、親や祖父母が気に入らないような内容だったら「それはやめておいた方が良い」と言われて、私も即あきらめてきた。
さらに、お金がかかるような内容なら「兄弟にお金がかかるからお前は我慢してくれ」と言われ、私もあっさりあきらめてきた。
なんでもかんでも「やる前に親や祖父母にお伺いを立てる」「顔色を見る」。
お伺いを立てなくても「それをやったら親や祖父母がなんてリアクションするか」想像をして、だいたいネガティブな想像に至って「諦める」。
段々「やりたいこと」が何もなくなってきたし「欲しい物」も無くなっていった。
自分が好きな事を好きなようにやるなんて、いけないことだと思った。わがままな事だと思った。両親や祖父母の言う通りに生きていくのが正解だと思ったしそれが「私を産んで育ててくれた人たちへの恩返しだ」と本気で思っていた。両親や祖父母が「お前はいい子だから何でも言うとおりにしてくれる」と褒めてくれるのが「私、認めてもらえてる」っていう感じがして嬉しかった。
今は普通に思える。
「私も両親も祖父母も皆間違ってる。」
そして私が「自分のやりたいことをやりたいようにできなかったのは両親や祖父母のせい」なんて単純なもんじゃない。
そもそも私自身が「両親や祖父母の言うことはきかなきゃいけない」って考えて、物事の決定権を両親・祖父母に全部渡してしまっていたことに問題があった。
私が「あれやりたい」「これやりたい」と思っていたことはどれも大したことじゃないし、別に「勝手にやってしまえば良かった事」がほとんど。
お金がかかるようなことも学生だからといって、「全部両親を当てにして相談してしまった」のが間違っていただけで、本気でほしいなら「社会人になって稼いだら返済します」「お小遣い、商品代金分を払いきれるまでなしでいいです」等様々な交渉手段があった。(バイトは許してもらえなかった)
「ダメと言われた=何もかも完全にダメでどうしようもない」なんてこと無いし、どこかに抜け道があるかもしれないし、自分の行動や結果に責任もって最後までちゃんと自力で受け止め行動するのならば「ちゃっかり勝手にやっちゃう」ってのもアリだった。
社会人になってもそうだったけど「新しい何かを思いついて行動しようとする人」を周囲の人は高確率で止める。「アイツ、大丈夫なのか?」と。
両親や祖父母からしたら、自分たちがやってこなかったような事をやろうとする子供(孫)が居たら「とにかくやめとけ」って、そりゃあ言うだろう。
今みたいな時代だったらもうちょっと違ったのかもしれないけど、私の幼少期っつったらマジ「サザエさん」の世界観に近い物がありましたし。
はー、結局は私の「考え方」「周りの人に対するコミュニケーション能力」「交渉力」「行動力」…もろもろ、何もかもがダメだっただけなんだって。
だけど、正直今でもまだ「小学校低学年からずっとずっと私は我慢ばっかりさせられてきた」「兄弟ばっかり可愛がりやがって」っていう恨みみたいなのが残っていて消化しきれていない。どうやら私は、見た目ばかりでなく心まで悪魔らしい。
テレビに映った天使を観て「彼女は彼女なりに色んな苦労があるのかもしれないけれど、とりあえず眩しすぎて目がつぶれそうだ」と思いながらも「コロナとか災害とかオリンピック批判とかなんか毎日毎日暗い話ばっかりだったから、彼女の容姿や話し方・キラキラした輝き」を観ていてなんだかちょっと心が浄化されたし、過去の自分は色々と下手糞だったけど今ならもうちょっと違う生き方・行動の仕方を選べるかもしれないなっていう気持ちになれました。
悪魔はたぶん天使にはなれないけど、ちょっとキラキラした悪魔を目指すのも楽しいかもしれないと思った本日でした。