もう少し先ではあるが私の誕生日がやってくる。32歳になる。
誕生日…。
30歳になった時もそうだったけど特になんの焦りも感動も無く、おめでとうと崇められつつケーキを食べる他は通常の1日と変わらない淡々とした日。
誰にも「誕生日おめでとう」と言われなかったらそのまま普通の日として過ごしそうだし年齢だって20歳超えたあたりから若干あやふやになってきたから「アンタ今何歳?」と面倒な親戚とかにフイに聞かれても間違えず答えられるようにスマホに現在の年齢を保存している程だ。
そんな私に夫が「誕生日のプレゼント何が欲しい?」と聞いてきた。
「…そうか。誕生日といえばプレゼントなのか。」
お互い、付き合いたての頃は「サプライズ」としてアクセサリーなどをこっそり用意していたが、夫婦となり財布が一体化してからは、ほとんどの行動や買い物が相手に筒抜けになってしまうため「プレゼントは欲しい物を一緒に買いに行く」という方向にシフトしていった。
まあ、せっかく「サプライズ」してもらってもアナウンサーやアイドルばりにキャピキャピ喜んで気の利いたこと言うみたいな「ナイス★リアクション」が搾り出しても出てこなくて、「おおっ!すげえなあ!これすげえわ!これイイ!!ありがとう!マジありがとう!!」と、頑張ってテンションあげても「すげえ」と「ありがとう」の連発しか出来ない私には普通に一緒に買い物に行って欲しい物を買ってもらうほうが有難い。
サプライズは私の中で「サプライズされることを微塵も気付かないフリをしながら、貰ったものにも大喜びしてなんなら感動の涙も流して、プレゼントした相手に(この子にサプライズして良かったなあ)と喜んでもらう儀式」なのである。
誕生日付近にわざわざ呼び出されると若干何かあるなと察してしまうし…。
そういや現在の夫は不思議な人で、何を考えているのか全然分からない分「これからサプライズするぞ感」までも微塵も私に感じさせずにシレーッとサプライズして来たので素でビックリしたことはあったな…今となっては完全☆宇宙人だけど。
なんにしても喜ぶのが上手な人がうらやましい限りだ。
…こんな感じで誕生日に関しても素直に受け取れない私。
今年の誕生日プレゼントは何を買ってもらおうかなと思っても何も浮かんでこない。
そもそも今現在、わざわざ誕生日に欲しいと思うものが無い。
買い物はわりと頻繁に出かけるからちょっとした欲しいものならその都度購入しているし、そのちょこちょこ買いで満たされている気がする。
アクセサリーとかなら女子力が高い感じがするかな…でも高そうだし興味ないな。
コスメとかは…ドラッグストアでそこそこそろえたしなあ。
服…ちょこちょこGUとかで買ってるから特別に欲してる服はないな。
旅行に行く?日帰り温泉とか…でも遠くまで行くのめんどくさいなあ。
お小遣いもらう?靴買う?新しいメガネは?
…うーーーーーん…特に何もないなあ。ケーキ買うくらいか。
色々考えても何も浮かんでこない。
過去の誕生日プレゼント内容を思い出しても、3000円くらいのスニーカーや新しいメガネやドラッグストアにあるコスメなど、安くて日常に使うものばかり。
あれ?でも夫にはスマホが出始めた頃にはアンドロイドあげたしデジタルカメラとかなんか高いものばっかりあげてきたな…。
日ごろからバイクだって頻繁に乗り換えてるし車やバイクの部品だって家計からお金出してたりしたもんな…。
もしかして夫には全力で良い物を提供して、自分にはその分ケチってる?
思い出してみれば過去の誕生日に自分で選んだプレゼントは本当に欲しいものというよりも「これだったらお金もそんなにかからないし家にあっても無駄じゃないし買ってもいいかな。」みたいなものばかりじゃん!
そしてそのプレゼントをお会計する時には
「夫はもっと高い物を買ってるのに私はこんな安い物がプレゼントか。まあお金あまり使いたくないしなあ。…あ、夫が見てるわ喜びながらお礼言わなきゃ…ほら!こんな3000円のスニーカーでも私はこんなに喜んでるんだから!健気でしょ?可愛いでしょ?他の女と違って私はお金かからない良い女なんだから大切にしてよね!!あとあんたも今度からコレくらいの値段のもんで満足するくらいの人間になってよね!普段から金使いすぎなんだから!!(怒)」
みたいなドス黒い恨みにも似た気持ちが渦巻いていたことを思い出しました…自分で選んだプレゼントなのにこんな不満タラタラなこと考えながら「ありがとう♪」とか言ってニコニコしてたんだから嫌な女過ぎる…。
んで、お金の話でケンカした時に「私は安いプレゼントでずっと我慢してるのに、アンタは高い物ばっかり買って!金欠の原因はお前だ!!」って相手に文句をぶつけたなあ…。
今、そういう自分に気付いたら頭の中が「!!!?」と電気が走ったみたいになって、何かがスポーンと取れた感覚になりました。
「夫のせいで我慢し続ける健気な私。」
「夫のせいで高い化粧品は手が出せずに、ドラッグストアで溜め込んだポイントで交換しほぼ無料で手に入れたコスメをずーっと使う私。」
「夫のせいで本当に気に入ったショップの高い服は手が出せず、SALEで手に入れた安い服を着る私。」
「夫のせいでブランドなんて手を出せる家計ではない生活を耐える私。」
「夫のせいで…。」「夫のせいで…。」「夫のせいで…。」…。
ヤベえ!何もかもを夫のせいにしてる私がいるじゃん…!!!!!
私なら、何も言ってないのに勝手に自分を追い込んでドス黒い感情を抱え込んでいつの間にか相手を恨みだすような女を愛せる気がしない…ていうかコレ本当に私の感情なのか?っていうくらい自分で自分に驚いている。
「欲しいものが特に無い」というのも「本当にすべてに満足してるから特に思い浮かばない」のではなくて、「本当は欲しいし気になるけど高いから、安くて似たような類似品で我慢したりあきらめたりしているうちにだんだん物欲がうせてきて本当に自分が欲しいものが分からなくなってきて、そこそこの品質の安い物ばかり買う」ようになってきた気がする。
よく考えたら、自分の物を安く抑える事も夫の高額商品の購入に対して家計からお金を出す事も、ブツブツ文句言いながらも最終的にOK出したのは私。
夫自体は私に金銭的なことは何一つ言ってきてないし節約しろなんて言われたこともないし買い物にはつれてってくれるし基本的に私の自由にさせてくれてるし実際家計もそこまで絶望的ではない。
欲しいなら欲しいと言って買いたいなら買えば良いだけなのに、私が勝手に「我慢している私」を夫に押し付けているんだ。
…なんという恐ろしいことに気付いてしまったんだ、自分が夫に押し付けている「重たい感情」に気付いて恥ずかしすぎて自分で自分の首を絞めたい。締め上げたい。
どんな顔して「私はこんなに我慢してるんだ!」と主張して夫にぶつけてきたんだ私…ああ考えたくない、やめて、もうやめて恥ずかしい…!
後悔すること山の如しですが、まずは「私は安いコスメで我慢している」の感情を遥か彼方にフッ飛ばす為に手持ちの「ラインでそろえたはいいけど不満タラタラで使っているコスメ」から「自分が気に入っていてホクホクした気分で使えるコスメ」にグレードアップしたいと思います。適当に買わずにちゃんと店員さんにアドバイスももらって。
「化粧品高いやつ薦められたら嫌だなあ」「今使ってるやつがまだまだ残ってるからもったいないなあ」「高いのはいやだなあ」「店員さんと喋るの苦手だなあ」などと私の頭の中に住んでいる貧乏神がブツブツつぶやいてきて惑わされそうですが、なんとか耐え抜いて誕生日には文句ひとつない「満足のコスメ」を手に入れて来てやりたいと思います。