ねぇ、リアルってどうやって充実させるの?

リア充になる方法を模索する30代女のブログ(雑談大量!)

★思い付き小説「アラウンド40の姫君 -はじまりの物語ー」

前置き(というかほぼ言い訳。)

 

ふと思いついた妄想をどこに書き連ねていこうか、アメブ〇とか新しくどこかにブログを開設しようかなどと考えてみたけどブログごとに「日常用」「思い付き小説用」などと自分の思考を切り替えて文章を書くのがちょっと難しいなあと思いまして。

 

今までさんざん自分の事情や邪悪な部分まで丸出しで文章を書き続けてきた物と同じアカウントで、さらに脳内妄想まで丸出しにするのは恥ずかしくもありますが、暇つぶしにはなる…かもしれませんので時間を持て余しまくってたまらなくて、しょうもないことでもいいからなんかないかなー状態などに陥られた際にぜひとも当ブログをご活用ください。

 

ちなみに個人の妄想なので世界観や設定に突っ込みどころしかなく、そもそも小説とか言っときながらただ文章を連ねただけです。

普段のブログを続けながら、ふと思いついたときにこういう妄想を垂れ流すだけなので人畜無害!なはず!!

 

どうか怒らないで!生暖か~い目で見守って時折鼻で笑ってやってください。

 

 

 

 

 

 

 

ー★思い付き小説「アラウンド40の姫君 -始まりの物語ー」

 

私は今「ちょっと気になっている男の人」と二人っきりで、文房具やコピー用紙などがたくさん置かれた薄暗い倉庫に居る。

何をしているのかって?デートかって?…残念だがただの仕事だ。

上司の立花による指示で、倉庫へ備品を取りに来ている。

 

「山野さん!ごめん、あの棚の上にある箱取ってもらえるかな?」

 

隣にいる「ちょっと気になっている男の人」から不意に声がかかって一瞬ビクッとしてしまう。

私より少し背が低い彼が指さす棚の一番上には軽そうな段ボールが乗っている。

私は腕を伸ばして段ボールを手に取り、彼に渡そうとする。

 

冷静な振りをして彼の方に向いて段ボールを差し出そうとするが、心臓はバクバクだし汗は全身からマグマの様に噴き出している。顔や耳だってボイルしたての蟹の様に真っ赤だろう。いつの間にか手だって震えている。

 

彼の前で変な音が鳴らないように、ついつい荒くなってしまう息は必死に殺しているしお昼前の激しい空腹でグルグル鳴るお腹の音だって彼に見えない方の肘をずーっとお腹に押し当てて少しでも音が鳴らないように力を入れ続けている。

 

しかしどうやったって顔がニタニタと笑顔に緩んでしまう。

彼と二人きりという、今の状況が嬉しすぎて。

 

…倉庫が薄暗いおかげで今の私の状態がバレずに済んでいるけれど、明るい所で今の私の状態を彼が見たら腰を抜かすほどビックリするかもしれないな。

だって「首から上が真っ赤で汗を垂れ流しながら、さらに息を殺しつつも手は震えていて。何故か片方の肘でずっとお腹を押さえつけているデカい女が段ボール箱を手渡してくるんだもん。」

 

分かっているんだ。

身長はきっと160センチ代後半で噂によると30代前半の年齢。光にキラキラと煌きながらも風にさらりとなびく明るめの茶髪、誰にでも物怖じしないでニコニコと近づいて行って途切れることなく話題を提供できる爽やか系で仕事もサクサクこなしていける彼。佐倉 爽(サクラ ソウ)さんだなんて名前まで爽やかで見ているだけで目が浄化されていくような人間と。

 

山野あざみ(ヤマノ アザミ)だなんてどこでも咲いてそうな雑草魂あふれる名前を付けられた割には勉強でも部活でも友人関係でも雑草魂どころかその辺に転がっている石ころみたいな存在感の学生生活を送って、社会人になった今でも同じような代り映えの無い生活のまま会社と家を往復していつのまにやら37歳。

彼氏なんて一回も…それどころか男の人と会話したことも数えることくらいしかないような、身長だけは187センチで骨格だけはやたらとごつい私…釣り合うわけが無いんだって。

 

一瞬の間にそんなことをゴチャゴチャ考えていたら佐倉さんが段ボールを受け取ろうとしていて、彼の暖かい手が私の冷たい指先に触れた。

 

「うぉわっ!!」

 

まさか手が当たるとは思ってなかった私の口から、思わず男らしい雄たけびが出てしまった。

 

背が高い人間あるあるなのか、私の声も限りなく低い。

寝起きで電話に出ると電話相手の人に「お父様ですか?」と言われる程度に低い。

 

これがきっと、可愛い声で「キャッ!」とか言えるなら…黄色い声が出せるなら万が一…いや億が一にも彼との恋が始まるかもしれない…

 

…いやそんなことはどうでもいい!今そんな事言ってる場合じゃない!彼に「いきなり雄たけびをあげる変な人」と思われなかっただろうか?

 

ただでさえもこの状況でダラダラ流れる汗に、さらに冷や汗が追加される。

こんなことなら制汗剤をもっと脇や背中に噴射しまくって来れば良かった…彼に「山野さんって変な人だし汗臭いんだな」とか思われたらもう出社できる気がしない。

 

薄暗いけどまともに見ることが出来なかった彼の方をチラリと横目で見てみると、彼は涼しい顔をして段ボール受け取り、中に入っていた文房具を取り出している。

 

薄暗い中でも分かるまつ毛の長さ、整った横顔。光を放っているかのような存在感を持っている彼。

 

なんで彼はこんなに素敵で、なんで私はこんなに平凡以下なんだろう。

どうやったら、こんな私を彼が意識してくれるんだろう。

私だけ、ずっとずっと彼が好きで。彼をいつも目で追っていて。彼が有給なんか取得して休んだ日には一日仕事がつまらない。同僚の女の人と話しているのを見たら涙が出るくらいみじめで悲しくて。それでも、彼が出勤しているのを確認したら嬉しくて。どんなしんどい仕事でも残業だって頑張れる。

 

だけど彼は、私が居ても居なくても関係なくいつも輝いていて老若男女問わず人に囲まれていて仕事も順調で幸せそうで…。

 

佐倉さんにちょっとでもいいから意識してほしい。私の存在を。

私の気持ちの10分の1でいい。私が仕事を休んだら「あれ、山野さんいないんだな」ってほんの少し寂しくなってくれたらそれだけでもうこの世に思い残すことは無いくらい。

 

背が高い女性と背が低い男性がラブラブになるストーリーの漫画を自分と佐倉さんに当てはめて何度も何度も飽きるほどに繰り返し読み漁ったけど、冷静に考えたらことごとく主人公が魅力的なんだ。身長差なんか気にならなくなるくらいに主人公が「素敵」なんだよ。

それに比べて、この私のどこに「素敵」がある?

 

紆余曲折あって黒髪ロングヘアだった髪をカットし、周囲に「黒は重いよ!」と言われては茶色に染め、今や「ザンバラなウルフカットのような髪型」。

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ワンピースやフリフリした女性らしい服が一切似合わないごつめの骨格に187センチの高身長。履ける靴を探し出すのも一苦労のデカい足。

 

職場の制服はなんとか着用できているけど靴はサイズが無くて私物を用意したし、スカートからのぞく足は自分の事ながらムッキムキでグラディエーターの如く。鏡やガラスに映った自分を見るたびに、思わず笑ってしまう。

 

平凡な家庭で学校も共学、職場も男性が多いはずなのに家族以外の男の人と話したことが無さ過ぎて、逆に今まで会話した男の人や何の話をしたのかまで一言一句違わずに記憶していて時折「ああ、中学校時代に会話した〇〇君元気かなあ」とか考えてしまう気持ちの悪い思考回路。

 

他にも数え上げればきりがないくらいに出てくる「素敵じゃない自分。」

 

ああ、こんな私じゃなかったら。

 

もっと可愛くて華奢だったら。

 

手足も小さくて思わず「守ってあげたい!」と思われる身長だったら。

 

お店に売っている可愛い服が素敵に着用できる身長だったら?

 

ヒールの靴を履いて、髪だって奇麗な色に染めてクルクルと巻いて。

 

西野カ〇みたいになれたなら?

 

 

 

きっと佐倉さんだって私の事を少しは意識してくれるはず…

 

 

「…のさん! やーまーのーさん!!」

 

声が聞こえて思わず体がビクッと反応する。

 

「大丈夫ですか?もしかして具合とか悪いんですか?医務室行くの付き添いましょうか?」

 

心配そうに佐倉さんが私を見上げている。

どうしよう、パッと言葉が浮かばない。

 

「…だ、だだ…大丈夫…デす」

 

声が上ずりながら、やっとのことで返事をした。

佐倉さんは心配そうな顔をしてこっちの顔を凝視してくる。

そんなに凝視されたら汗と動悸が止まらない。たまらず顔をそむける私。

 

「ちょっと、本当に平気なんですか?」

佐倉さんが私の顔に向かって右手を伸ばしてきた。恥ずかしすぎてのけぞって避けたかったけどそんなことをしたら佐倉さんを避けている様で失礼すぎる気がした。

 

どうしたらいいか分からなくて目を開けたままじっと固まっていたら、佐倉さんの伸ばした右手が私の額にそっと当てられる。その手を見て私はサーッと青ざめた。

 

「うわっ、めっちゃ汗かいてるし僕より体温高いんじゃないですか?医務室、行きましょう!おんぶとかしましょうか?」

 

佐倉さんがなんだかすごく心配してくれてる。声が聞こえる。だけど今の私にはその声を聴いている心の余裕が無い。思わずしゃがみ込んでうつむいてしまった。

 

「ごめんなさい、やっぱしんどくて…ちょっと休んだら医務室行くんで上司…立花さんにその旨をお伝えしていただけますか?」

 

なんとか言葉を絞り出して佐倉さんに伝えた。

佐倉さんは私を介抱しようとしばらく粘っていたけれど「備品も早く持って行かなきゃいけないし」とか「勤務中に2人が長時間いなくなるのも良くないし」とか適当に言い訳を言いまくっていたら何とか納得してくれて、備品をもって倉庫から出て行った。

 

遠ざかっていく佐倉さんの足音。

一歩たりとも歩く気力が無くて、薄暗い倉庫の中でうつむいてうずくまったままの私。

堪えられない。唇が震える。目からは涙が止まらない。

 

さっき見た、佐倉さんの右手の映像が脳から消えない。

私に向かって伸ばされた右の手のひら。薬指にきらりと輝く銀色のシンプルなリング。

ハートのマークがひとつ、彫り込んであった。

 

男性でハートのマークのモチーフを身に着ける人なんて居ないとは思ってない。

ただのファッションかもしれない。

 

だけど、結婚指輪しかアクセサリーを付けない雰囲気の職場で、あんなに仕事のできる彼がファッションリングを持ち込むとは思えない。

私の記憶をたどる限り、以前の彼はアクセサリー系を一切装着していなかったし。

 

それに、インターネットか漫画か小説か…出所は忘れたけれど男の人が右手の薬指に指輪を付けているというのは婚約とか心に決めた人がいるんだって見たこともある。

 

なにより、あんな素敵な男性が誰からも言い寄られないなんて、よく考えたらありえない。

 

いつからあのリングをしているのか分からないけれど、きっとそれよりもっと前から…私が彼を見てウキウキしたりソワソワしたりしている間に、彼は親しい間柄になれる相手を見つけていたんだ…。

 

 

1人でウキウキしたりときめいたり、本当に馬鹿みたいだ…。

 

 

自分から話しかけることもできなかった。ごくまれに顔を合わせた時に会釈くらいしかできなかった。それでもずーっと好きだった。

私が先にこの職場にいて、家と会社の往復をするだけの灰色の生活を送っていて、そんな中にあなたがやってきたんだ。

私の生活は相変わらず代り映えの無い灰色だったけれど、あなたの姿を見て、あなたの朗らかに笑う笑顔を見てるその時だけは薔薇色になったんだよ…。

 

私は佐倉さんになにも伝えてないしほとんど会話すらしてもいないし彼氏どころか友達でもない顔見知り程度だけれど、だけど裏切られた気分でどうしようもなくどん底な気分だ。

 

 

 

「うぼぁっ…ふぐぅっ……ふぐえっ…」

 

 

 

涙と共に可愛さがみじんも無い低音の嗚咽が漏れ続ける。だけど頭の中のどこか一角に冷静な私が鎮座していて「そらあこんなにかわいくない泣き方する女なんか佐倉さんに相手にされる訳ねえよな」なんてあざ笑っている。

 

そういえば、ここにこのまま座ってたら佐倉さんが戻ってくるかもしれない。

今彼と顔を合わせたくない。こんな惨めな自分を見られたくないし知られたくない。

 

必死でぼろぼろの顔をごまかしながらなんとか医務室に行って担当者とやり取りをしたけど、もう何をどう会話したのか覚えていない。

 

記憶しているのは医務室の担当者が何とも言えない心配そうな顔をしていた事と「リスのような雰囲気!小柄で可愛い!」と社の男性陣にもてはやされている同僚が私のカバンを持ってきてくれた事。その同僚もものすごく心配してくれてて、その右手薬指にはさっき佐倉さんがしていたのと同じデザインのシンプルな銀色のリングが光っていた事。

 

 

タクシー呼ぼうかとか家まで送ろうかとかいろいろ言われたけどなんとか断って逃げるように会社を出た。

 

家に帰ろうとか何も考えることが出来なかった。

今歩いている道が、いつも通っている道なのかどうかも判断できなかった。

もうなにも考えられなかったし考えたくもなかった。

 

涙を垂れ流しながら、目の前の道を歩けるだけ歩いた。

たかが一方的な片思いで仕事を投げ出した挙句にここまで前後不覚になってズタボロ被害者気どりになるなんて本当に情けないと自分を罰する気持ちも湧き上がる。

 

通りすがりの自転車をこぐおばちゃんや赤ちゃんを連れて散歩している私よりはるかに年下のお母さん、店頭の掃除をするおじさん…平日昼間の道を歩く人たちが、こっちをチラッとみてはギョッとした顔をして目を背ける。

メドゥーサにでもなった気分だ。

 

 いっそのこと石になりたい。何も考えなくていい石になりたい。

石になった私を誰か砕いて壊してくれたらいいのに…。

 

「消えてなくなりたい…。」

 

思わず口をついて出た言葉。右足が段差に引っかかって躓いた。

地面の上に倒れこむ私の体。左の手のひらと右ひざがじんわりと痛む。

よろよろと体を起こして痛いと思った場所を見てみると擦り傷が出来ていて出血していた。

 

こういう時に女子力が高ければばんそうこうでも持っているのだろうが、あいにく私のカバンには財布とスマホと職場の資料と家の鍵くらいしか入っていない。

お店に入ってばんそうこうを買う気力もない。

 

私はただ、涙と血を流しながらよろよろと目の前の道を歩き続けるしかなかった。