「おっしゃー!今日は気分もいいから時間作ってイラストでも描くかー!」
朝そう思って、日常ルーティンを済ませて部屋に戻る。
そして積んである布団の隅っこに頭を乗っけてゴロリと横になる。
「あはぁー…快適。」
いつのまにか手にスマートフォンを握る私。
「あぁ…でも絵を描こうと思ってるのにスマホなんていじってたらあっという間に数時間持っていかれる…!やめるんだマナ、スマホから手を離すんだ!」
心のどこか遠くで声が聞こえる。
スマホを離せ、イラストを描くのだと。
だがその声はすぐにかき消される。
「…でも今日はよく頑張ったし、少しだけ…10分だけサイトを見て楽しんじゃえ。」
そして面白い記事をまとめたクレイジーのページに飛んでめぼしい記事に目を通す。楽しい。
そのまま立て続けにネバーまとめ、がるちゃんにお料理速報…頻繁にみているサイトを巡ってはめぼしい記事に目を通す。やはり楽しい。
気づけばあっという間に時間が経っており眠たくなる時間に突入。
お風呂に入りながら一人で後悔。
「あぁ…ちゃんと10分でスマホから手を離していればイラストが描けたのにもったいなかったなあ。いや、それよりスマホに手をつけなければ…ちがう、部屋に戻った瞬間に横になってしまったのが敗因で…。」
延々と後悔。
だけど次の日も同じことをやってしまう。
ゴロリと寝転がってスマホに手を伸ばしてしまう。
楽しい情報、他の人の体験、新しい情報…いろんな情報がスマホを通して入ってくるけど、その情報で私の日常生活が変化することはほとんどない。
結局「いつもの」が心地いいのか、一瞬自己啓発的情報に感化されてやる気が湧いても「いつもと同じ」に戻ってしまう。
きっと「刺激」は欲しいんだけど自分が自らぶち当たっての刺激はしんどいから、インターネットで誰かの刺激をほどほどに分けてもらう位が心地いいのかもしれない。
そんな都合のいい刺激をいつでもどこでも風呂でもトイレでも与えてくれるのがスマホ。
なんて危険で、なんて魅力的で、なんて便利なアイテムなんだと思う。
きっと夫を見つめる時間よりもはるかに長くスマホと見つめ合っている私。
朝も、昼も、夜も、暇な時も、待ち時間も、困った時も…様々な場面でスマホと見つめ合う。
もはや愛人と呼んでも過言では無いのでは?っちゅうくらい見つめ合う。
そして今日も横になってスマホをいじっている。
やりたい事をやろうとする気持ちよりも、横になってスマホをいじりたい気持ちの方がどうにも強い。
…スマホの魔力、半端ねぇな。
そう思いつつ、反省や後悔もしつつ、きっと明日明後日もその先もスマホをいじる。
その時間に生産性は、きっと無い。